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マンションの屋上防水工事で失敗しないための7つの判断基準

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はじめに

あなたの住んでいるマンションは、どんなふうに雨を防いでいるか、考えたことがありますか?

実は、マンションの屋上には「防水工事」が必ずされています。この防水がしっかりしていないと、雨が屋上から建物の中に染み込み、天井や壁が濡れたり、カビが生えたり、最悪の場合は部屋の中で雨漏りが起きることもあります。

この「屋上防水」は、長い年月が経つとだんだんと劣化(=傷んでくること)してしまうため、定期的に修繕(しゅうぜん)=直す工事が必要です。

この記事では、マンションの管理組合が屋上防水の修繕を検討するときに、どんなポイントをチェックすれば失敗しないのかを、「7つの判断基準」として分かりやすく紹介します。

1. 現在の防水層と劣化状況を正しく把握する

マンションの屋上には、雨を通さないようにする「防水層(ぼうすいそう)」という膜(まく)があります。この防水層がどういう材料で作られているのか、そして今どれだけ劣化しているかを最初に調べる必要があります。

● 調査方法にはどんなものがある?

  • 目視調査:目で見てヒビや膨らみがないか確認
  • 打診調査:棒などでトントン叩いて、浮いている音を確認
  • 赤外線調査:温度の違いから水の入り込みを見つける

こうした調査をもとに、今の防水がそのまま使えるのか、全部はがして新しくする必要があるのかを判断します。

2. 工法の種類と特徴を比較する

「防水工事」といっても、実はいろいろな方法があります。ここでは、マンションでよく使われる3つの工法(=工事の方法)を紹介します。

● ウレタン防水

液体状の材料を塗って、乾かして膜を作る方法。液体なのでどんな形の屋上にも対応できるのが強みです。

耐用年数:約12〜15年

● シート防水

「シート」と呼ばれるゴムや塩ビ(塩化ビニール)の板を屋上に貼る方法。しっかり貼れば水は入らず、耐久性も高いです。

耐用年数:約15〜20年

● アスファルト防水

アスファルト(道路などに使われる黒いネバネバしたもの)を熱で溶かして何層にも重ねる方法。最も丈夫で長持ち。ただし工事のときに火を使うので、安全管理がとても重要です。

耐用年数:約15〜20年

3. 耐用年数とライフサイクルコストで選ぶ

工法を選ぶときは、一度の工事にかかる費用だけでなく、その後にどれくらい長持ちするかも大切なポイントです。

たとえば、ウレタン防水は安く済むけれど、10年ごとに塗り直しが必要。一方でアスファルト防水は初期費用は高めでも、20年近く持つこともあります。

● 各工法の費用と耐久性の目安

工法単価(1㎡あたり)耐用年数
ウレタン防水約6,000〜11,000円約12〜15年
シート防水約7,000〜12,000円約15〜20年
アスファルト防水約8,000〜13,000円約15〜20年

4. 火気使用や施工中の安全性を確認する

工事のときに火を使うかどうかも重要なポイントです。

アスファルト防水の「トーチ工法」などはバーナーであぶる必要があるため、火災のリスクや煙・臭いの問題が出る可能性があります。

一方、ウレタン防水や一部のシート防水は火を使わない工法(=冷工法)なので、安全性が高く、住民への影響も少なめです。

5. 信頼できる施工業者を選定する

どんなに良い工法を選んでも、工事をする業者がいいかげんでは意味がありません。信頼できる業者を選ぶには、以下のような点をチェックしましょう。

  • 過去の施工実績(他のマンションでの工事歴)
  • 施工方法や工事中の対応に関する説明がわかりやすいか
  • 工事後の保証期間やアフターサービスがあるか

また、3社くらいから相見積もりを取って比較するのが一般的です。

6. 将来の活用計画を踏まえて選ぶ

マンションによっては、将来、屋上に太陽光パネルを設置したいと考えているケースもあります。その場合は、設置する機器との相性や重さを考えて、防水層がしっかり支えられるようにしておく必要があります。

また、「屋上緑化」=芝生や植物を植えるような工事を考えている場合は、水や土の重さ、植物の根による影響も考慮し、防水層をより強固にしておくことが求められます。

7. トラブル事例と成功事例から学ぶ

● トラブル事例:東京都北区のマンション

工事後1年ほどで天井から雨漏りが発生。調査の結果、防水工事に施工不良があったことが判明しました。最終的に別の業者が再施工を行い、追加費用が発生してしまいました。

教訓: 安さだけで業者を選ばず、施工品質を重視することが重要。

● 成功事例:東京都三鷹市のマンション

大型台風で屋上の金属部が壊れたことをきっかけに、最新の「Dマット工法」という防水方法を導入。液体のウレタンとガラス繊維のマットを組み合わせることで、耐久性が高まり、防水層が一体化して飛散リスクが大きく減少しました。

教訓: 状況に応じて新しい技術を取り入れる柔軟性も、成功のカギ。

おわりに

屋上防水工事は、マンション全体の安全や快適さに関わるとても大切な修繕です。ですが、費用も大きく、工事の内容も難しいため、つい判断を先延ばしにしてしまうこともあります。

管理組合としては、以下の点を意識して行動することが大切です:

  • 現状を正確に調査する
  • 工法の違いと費用を比較する
  • 専門家の意見を取り入れ、住民に分かりやすく説明する
  • 合理的で納得感のある判断を行う

この記事が、皆さんのマンション管理の一助になれば幸いです。

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